公益財団法人野口研究所

研究概要・成果Outline / Result

Efficient Synthesis of N- and O-linked Glycopeptides using Acid-Labile Boc Groups for the Protection of Carbohydrate Moieties

Tomohiro Tanaka, Mika Shiraishi, Akio Matsuda and Mamoru Mizuno*
Tetrahedron Lett., 2019, 60, 151106
https://doi.org/10.1016/j.tetlet.2019.151106

論文概要
酸性条件で除去できる糖ヒドロキシ保護基を使用した、簡便な糖ペプチド合成法

 糖ペプチドの合成の際には、合成反応中の副反応(O-アシル化等)を防ぐために糖のヒドロキシ基を保護基で保護する必要があります。一般的にはアセチル基やベンジル基等が用いられていますが、これらはペプチド部位の脱保護反応条件では除去できないため、別途糖ヒドロキシ基保護基の除去が必要になります。さらに従来の糖ヒドロキシ基保護基の除去条件では副反応(糖鎖の分解や、ペプチド部位からの糖鎖の脱離等)が起こることが問題となっています。
 このような糖ヒドロキシ基由来の副反応を回避するために、当研究室では糖ヒドロキシ基の保護基としてtert-butyloxycarbony(Boc)基を用いる手法を開発しました。本手法のポイントとしては、当研究室で開発した糖キドロキシ基をBoc基で保護した糖アミノ酸(O-Boc保護糖アミノ酸)を原料として使用することです。このBoc基はペプチド部位の保護基と一緒に除去できることから、従来の糖ペプチド合成で問題となっていた保護基由来の種々の副反応を抑制できる効率的な糖ペプチド合成法であります(Tetrahedron Lett.誌2019年掲載、特許第6605201号)。

酸性条件で除去できる糖ヒドロキシ保護基を使用した、簡便な糖ペプチド合成法