糖ヒドロキシ保護基とペプチド用保護基を同時に除去できる効率的な糖ペプチド合成法を開発した。
糖ペプチドの合成の際には、合成反応中の副反応(O-アシル化等)を防ぐために糖のヒドロキシ基を保護基で保護する必要があります。一般的にはアセチル基やベンジル基等が用いられていますが、これらはペプチド部位の脱保護反応条件(酸性条件)では除去できないため、別途糖ヒドロキシ基保護基の除去が必要になります。さらに従来の糖ヒドロキシ基保護基の除去条件では副反応(糖鎖の分解や、ペプチド部位からの糖鎖の脱離等)が起こることが問題となっています。
このような糖ヒドロキシ基由来の副反応を回避するために、当研究室では糖ヒドロキシ基の保護基としてtert-butyloxycarbony(Boc)基を用いる手法を開発しました。本手法の特徴としては、糖キドロキシ基をBoc基で保護した糖アミノ酸(O-Boc保護糖アミノ酸)を原料として使用することです。本特許ではO-Boc保護糖アミノ酸の合成技術についての記載もされています。
このBoc基はペプチド部位の保護基と一緒に酸性条件下で除去できることから、本手法は従来の糖ペプチド合成で問題となっていた保護基由来の種々の副反応を抑制できる効率的な糖ペプチド合成法であります。