誰でもMSスペクトルが容易に取得できるマトリックスフリーレーザー脱離イオン化質量分析用プレートの開発
生体分子の質量分析にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)が汎用されています。そのままではイオン化が難しい測定分子に、レーザー光を吸収する有機分子をマトリックスとして加え混合物として測定試料とします。この測定試料である混合結晶は均一ではなく、高いシグナルが検出されるスイートスポットを探し出しながら測定する必要があります。したがって測定分子が微量になるほど測定に時間や労力がかかる上、測定者によってMSスペクトルの質が異なるという課題があります。
それを解決するために、レーザー光を吸収する有機シリカ多孔膜基板をMS試料プレートとすることにより、マトリックス不要で測定分子のみをプレートに載せるだけでレーザー脱離イオン化質量分析を行う方法を実現しました。つまりあらかじめマトリックス機能をもつ有機基が壁に埋め込まれた細孔に測定分子を入れることにより、マトリックス中に均一に分散した測定試料が作製されます。そこにレーザーを照射すれば誰でも同じMSスペクトルが取得できます。また、自動分析に応用できますので、高再現性で高スループットな測定が可能となります。