公益財団法人野口研究所

研究室の紹介Laboratory

糖鎖のデータベース

 我々は糖鎖科学関連データをリンクトオープンデータ(LOD)とすることにより、「データのウェブ」に糖鎖関連データを繋げるとともに、タンパク質、遺伝子、疾患などのデータとの連携にもLODを活用している。さらにLODを可視化することや、グラフィカルユーザーインターフェースを充実させることはデータの利便性を向上させ、LODの活用に繋がることが期待できる。 また、我々の開発した糖鎖構造の線形文字列表記法であるWURCS[1]の特徴を活かした情報処理基盤とLODの構築を目指し、国際糖鎖リポジトリGlyTouCan[2]や糖鎖研究支援サイトGlycoNAVI、糖鎖科学ポータルGlyCosmos[3]の開発や、PubChemやPDB[4]など、国内外の糖鎖関連データベースとの連携を行っています。また、糖鎖描画編集ツール等、様々な研究者が糖鎖情報を利用しやすくするためのUI(ユーザーインターフェース)を備えたソフトウェアの開発も行っています。 以下に開発しているサイトの一部を紹介します。
  • GlyTouCan 国際糖鎖構造リポジトリであり、糖鎖構造に固有の識別子を付与するシステムです。システムの内部では、我々の開発した糖鎖構造の線形文字列表記法であるWURCSやWURCSを活用したツールが利用されています。
  • GlyCosmos 糖鎖科学ポータルサイトGlyCosmosは多くの糖鎖科学データベースや関連したタンパク質や脂質、疾患などを連携した日本糖質学会公認のポータルサイトです。本ポータルには、データを登録するリポジトリとしてGlyTouCan、GlycoPOST、UniCarb-DR、データリソースとして糖鎖、糖タンパク質、糖脂質、疾患、糖鎖関連遺伝子などのデータを含んでいます。
  • GlycoNAVI 糖鎖科学研究をサポートするサイトとして開発しているデータベースであり、糖鎖構造を中心としたデータを提供している。リソースとしては糖鎖構造の略号やモチーフ名、立体構造などを収録しています。糖鎖立体構造に関連した情報は、我々が開発したソフトウェアを用いてProtein Data Bankのデータを毎週解析し提供しています。
参考文献
  1. WURCS 2.0 Update To Encapsulate Ambiguous Carbohydrate Structures. Matsubara M, Aoki-Kinoshita KF, Aoki NP, Yamada I, Narimatsu H. J Chem Inf Model. 2017 Apr 24;57(4):632-637. doi: 10.1021/acs.jcim.6b00650. PMID: 28263066
  2. The international glycan repository GlyTouCan version 3.0. Fujita A, Aoki NP, Shinmachi D, Matsubara M, Tsuchiya S, Shiota M, Ono T, Yamada I, Aoki-Kinoshita KF., Nucleic Acids Res. 2021 Jan 8;49(D1):D1529-D1533. doi: 10.1093/nar/gkaa947. PMID: 33125071
  3. The GlyCosmos Portal: a unified and comprehensive web resource for the glycosciences. Yamada I, Shiota M, Shinmachi D, Ono T, Tsuchiya S, Hosoda M, Fujita A, Aoki NP, Watanabe Y, Fujita N, Angata K, Kaji H, Narimatsu H, Okuda S, Aoki-Kinoshita KF., Nat Methods. 2020 Jul;17(7):649-650. doi: 10.1038/s41592-020-0879-8. PMID: 32572234
  4. Enhanced validation of small-molecule ligands and carbohydrates in the Protein Data Bank. Feng Z, Westbrook JD, Sala R, Smart OS, Bricogne G, Matsubara M, Yamada I, Tsuchiya S, Aoki-Kinoshita KF, Hoch JC, Kurisu G, Velankar S, Burley SK, Young JY., Structure. 2021 Apr 1;29(4):393-400.e1. doi: 10.1016/j.str.2021.02.004. PMID: 33657417