公益財団法人野口研究所

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糖鎖情報科学

生体高分子の一つである糖鎖は、核酸やタンパク質に次ぐ、「第3の生命鎖」と呼ばれるほど重要な役割を担っていますが、他の分野と比べて研究が遅れています。その理由として挙げられるのが、糖鎖構造の複雑さと、それに起因する情報科学技術の適用の難しさです。特に、情報科学技術は、核酸やタンパク質の研究が飛躍的な発展を遂げられた大きな要因の一つです。 糖鎖の多様な機能は、その多様性に富んだ複雑な構造に由来します。そのため、核酸やタンパク質の単純な配列構造を扱う場合と比べ、構造を情報として取り扱うことが容易ではありません。また、構造解析や合成などの難易度も高くなるため、実験から得られる情報も少なく、断片的で曖昧なものになりがちです。つまり、糖鎖研究においては、糖鎖の機能や構造に関する情報の量や質が不十分であり、そのことが情報科学技術の適用を阻む大きなハードルとなっています。 そのような問題を解決するためには、糖鎖科学研究に対して情報科学からのアプローチを可能にする、情報処理基盤の構築が必要不可欠です。また、構築した基盤を利用し、糖鎖科学研究から産出されたデータを集積し知識として集約するとともに、これらのデータを利用して糖鎖科学研究の課題を解決していく学問が糖鎖情報科学です。