公益財団法人野口研究所

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天然物からの糖鎖調製とその利用

 生体内のタンパク質の多くは、糖鎖が結合している糖タンパク質であり、この糖鎖はN結合型糖鎖とO結合型糖鎖に大別されます。
糖鎖の研究のためには標品や試薬として使用できる糖鎖が必要になります。N結合型糖鎖は、鶏の卵黄中に豊富に存在しており比較的容易に調製できることから、試薬として販売されており、N結合型糖鎖の解析、合成等の研究に利用されています。
 一方のO結合型糖鎖は、原料となる糖タンパク質の入手が容易ではなく、また均一な糖鎖構造での調製は困難でありました。
我々は、安価で入手が容易なホエイプロテインパウダー(ドラッグストアなどで“プロテイン”として売られています)を原料としてO結合型糖鎖を有する糖ペプチドの調製に成功しました。ホエイプロテインパウダーには複数のO結合型糖鎖を有するκ-カゼイングリコマクロペプチド(GMP)やラクトフォリン(LP)が大量に含まれています。ホエイプロテインパウダーから調製されたO結合型糖ペプチドは糖鎖構造が均一であり、O結合型糖鎖の研究の標品や試薬として有用であると考えております。
 現在、このO結合型糖ペプチドを利用して、糖ペプチドの解析手法の開発やO結合型糖鎖の機能解明に関する研究も主なっております。

天然物からの糖鎖調製とその利用
関連文献

Preparation of O-Glycopeptides from commercial bovine whey proteins using offline liquid chromatography–Mass spectrometry Masaki Kurogochi, Akio Matsuda, Mamoru Mizuno
Carbohydr. Res., 2020, 491, 107981
https://doi.org/10.1016/j.carres.2020.107981