公益財団法人野口研究所

研究概要・成果Outline / Result

特許第6722895号「カスパーゼ1活性化阻害剤」

概要

 1,5-D-アンヒドロフルクトースよりも強力なインフラマソーム形成阻害剤として種々のエノン誘導体やデオキシアンヒドロフルクトース誘導体を合成した。

特許の内容

 体内に病原体が侵入すると「インフラマソーム」と呼ばれるタンパク質複合体が形成されます。このインフラマソームは免疫細胞の刺激や増殖等、自然免疫系を活性化する働きをしますが、過度の活性化が様々な炎症性疾患(動脈硬化、痛風、アルツハイマー、敗血症、等)に関わっているのではないかと考えられています。そのため、これらの疾患の予防や治療を可能にする医薬の成分としてインフラマソームの働きを抑制する化合物(阻害剤)が注目されています。
 近年、デンプンから生産される1,5-D-アンヒドロフルクトース(以下、1,5-AF)がインフラマソームの形成を阻害する作用を有していることが報告されました。そこで1,5-AFよりも強いインフラマソームの形成の阻害効果を目指して、1,5-AFの構造を基にして様々な非天然型構造を有する新規な化合物の合成を行いました。
 これらの合成化合物についてインフラマソーム形成の阻害効果を調べた結果、ある化合物については1,5-AFよりも強力な阻害効果があることが明らかとなりました。この研究成果である新規化合物は、慢性炎症や自己炎症性疾患などの医薬の成分、またはその基となる構造として有用であると考えています。

カスパーゼ1活性化阻害剤