研究概要

　「糖鎖生物研究室」では、生化学、分子生物学および細胞生物学といった学問を基礎とし、様々なバックグラウンドを有する研究者が集って日々研究活動を進めています。
　当研究室の使命は、“生命現象における糖鎖の役割”を明らかにすることにあります。糖鎖は核酸やタンパク質に次ぐ“第三の生命鎖”と言われ、生体における様々な生理機能や病態の進行に密接に関係することが知られています。実際、糖タンパク質に付加する糖鎖の構造がその糖タンパク質の機能に大きく影響するという報告が多くなされ、癌などの疾患では特徴的な糖鎖構造も見つかってきています。つまり、糖鎖はタンパク質や脂質に結合して生命活動を緻密に制御しているとも言え、その役割を明らかにすることは生理機能をより詳細に理解することにも繋がるとともに、バイオマーカーや医薬品などへの応用展開も期待されます。
　当研究室では、今までに積み上げた技術や経験を活かした研究を進展させると共に、さらに新たなアプローチによる可能性を追求しながら“糖鎖の機能解明”という大きな課題に挑戦し続けたいと考えています。注目した糖鎖構造の発現がどの様に制御されるのか、その糖鎖を介してどの様なシグナルが伝わるのか、その糖鎖構造が変化した時に生体はどの様な変化を生じるのかなどの疑問を、分子レベル、細胞レベル、個体レベルで解析を行い、糖鎖が生命現象にどの様に関わっているのかを明らかにしていきたいと思います。その上で、世の中の役に立つ情報として継続的に発信していくことを目指します。